はじめに
暗号資産(仮想通貨)の価格が高騰する中、相続時の税負担が想像以上に重くなるケースが増えています。特に「相続税」と「雑所得課税」が重なることで、税率が最大110%に達する可能性があることをご存じでしょうか?この記事では、その仕組みと対策について解説します。
🧾暗号資産にかかる相続税の基本ルール
- 暗号資産は「財産的価値がある資産」として相続税の課税対象
- 相続税は累進課税で、最大税率は55%
- 評価額は相続時点の時価(市場価格)で算出
- 株式などと違い、平均値や控除の特例が適用されない
💸売却時にかかる雑所得課税のルール
- 相続した暗号資産を売却すると「雑所得」として課税
- 雑所得は総合課税で、所得税最大45%+住民税10%
- 被相続人の取得価格を引き継ぐため、取得費が極端に低いケースが多い
- 「取得費加算の特例」が適用されないため、課税額が跳ね上がる
⚠️税率110%になるケースとは?
事例:ビットコインを相続してすぐ売却した場合
項目 | 金額の例 |
---|---|
被相続人の取得価格 | 100万円(1BTC=1万円で購入) |
相続時の評価額 | 15億円(1BTC=1,500万円) |
相続税 | 約7.3億円(55%課税) |
売却時の雑所得 | 約14.9億円 |
所得税+住民税 | 約8.2億円(55%課税) |
合計税額 | 約15.5億円 |
手取り額 | マイナス5000万円 |
相続した資産よりも税金の方が多くなる、まさに“納税破産”の可能性
🛡️なぜこんなことが起きるのか?
- 相続税と所得税が別々に課税される
- 暗号資産は「雑所得」扱いで、分離課税の対象外
- 株式や不動産と違い、税制上の優遇措置が少ない
- 暗号資産の価格変動が激しく、評価額が急騰しやすい
🧠対策と今後の展望
✅事前対策
- 生前に暗号資産を売却して現金化
- 法人を活用して資産管理(海外法人も選択肢)
- 相続人にパスワードや取引所情報を共有
🔄制度改正の動き
- 業界団体は「申告分離課税」への移行を要望中
- 取得費加算の特例の適用拡大も議論されている
まとめ
暗号資産の相続は、現行制度では極めて不利な税制となっています。相続税と雑所得課税が重なることで、税率が110%を超えるという異常事態も起こり得ます。資産を守るためには、事前の対策と制度の理解が不可欠です。
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