暗号資産と税金の話:日本ブロックチェーン協会が政府に出した5つの提案とは?
最近、ビットコインやイーサリアムといった「暗号資産(仮想通貨)」がますます注目されています。これらは私たちが普段使う円やドルとは少し違う、新しいタイプのお金のようなものです。
そんな暗号資産に関する税金の仕組みを見直してほしいと、日本ブロックチェーン協会(JBA)という団体が政府に対して5つの提案を出しました。これには、「暗号資産をもっと活用しやすくして、日本の技術発展につなげたい」という思いが込められています。
では、具体的にどんな内容なのか、わかりやすく説明します。
① 株のような税ルールにしてほしい(分離課税と損失繰越)
今のルールでは、暗号資産で得た利益は他の所得(給料など)とまとめて税金をかける「総合課税」になります。これだと利益が多い人は最大55%もの税率になることも。
一方、株の利益は**約20%の「分離課税」**で計算されます。JBAは、「暗号資産も株と同じように、一定の税率にすべき」と主張しています。
さらに、暗号資産で損をした場合にも、最大3年間は将来の利益と相殺できるようにしてほしいという提案もしています。これを「損失繰越控除」といいます。
また、取引所によっては**税金を自動的に引くか選べる制度(源泉徴収)**を導入し、申告の手間を減らせるようにしてほしいとも提案しています。
② 相続した暗号資産の扱いを見直してほしい
暗号資産を家族が亡くなった後に相続した場合の税金にも課題があります。
相続した時点では価値が高くても、もともとその資産を買った時の金額が使われるため、実際に利益が出ていないのに所得税がかかることもあります。
JBAは、株と同じように、相続時に払った税金を売る時の「買った値段」として計算できるようにする特例の導入や、暗号資産の価値の決め方を柔軟にするよう提案しています。
③ 暗号資産を別の種類に交換しても、すぐに税金がかからないようにしてほしい
例えば「ビットコイン → イーサリアム」など、暗号資産同士の交換にも税金がかかる今の仕組みは、実際の取引のスタイルに合っていないという声があります。
そこでJBAは、「日本円などに交換したとき」だけ課税対象にしてほしいとしています。これによって、計算がわかりやすくなり、より活発な取引にもつながると考えられています。
④ 寄附したときに税金がかからないようにしてほしい
災害支援や寄附活動で、暗号資産を使う人も増えています。でも現在は、価値が上がった暗号資産を寄附すると、その利益に税金がかかる場合があります。
JBAは、「株や不動産と同じように、寄附した場合は税金がかからない特別ルールを適用してほしい」と要望しています。
⑤ 企業が暗号資産を持ちやすい環境をつくってほしい
企業が年度末に持っている暗号資産にも、実際に売っていなくても税金がかかることがあるという仕組みに以前は問題がありました。
2024年に一部改善されましたが、JBAは「もっとわかりやすく、企業が使いやすい制度にしてほしい」と引き続き要望を出しています。
最後に:今後の動きに注目を
JBAの代表理事である加納氏は、「今、政府や行政は過去一番熱心に議論している」と話しています。
暗号資産は、これからの資産形成やWeb3など新しい技術発展にも関わる重要な分野です。今回の税制に関する提案が、未来に向けた良い環境づくりにつながるといいですね。
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